2015.6.20「晶晶」展at森岡書店
2015-06-20

先月、奈良県三輪市にある喜多美術館を訪れました。この地で生まれ育った写真家の萬田康文さんの展覧会が開かれていて、それを見る為に。

ローカル線の駅を降りた瞬間に差し込む美しい新緑の光とともに、美術館のある小高い丘を包む際立った静けさや水音のすべてが、萬田さんの真っ白な写真とひとつになっていました。

その美しい三輪から戻るときに、私の30代最後の仕事って何かなと思いました。生まれ育った土地であんな展示を叶えた同い年の萬田さんが羨ましくて、私もふと、原点に帰りたくなりました。

今の活動があるのはすべて、あの日の森岡さんの一言によるものです。

6月で、今日みたいに午後から雨が降っていました。今からは嘘みたいな話ですが、お客さんは誰もいませんでした。

8年後は、茅場町ではなく銀座で。

どうぞよろしくお願いします。

森岡書店朗読会/小駒 眞弓「晶晶」展によせて

宮沢賢治『十力の金剛石』朗読会と作家トークショー

日 時 2015年6月20日午後7時30分〜

定 員 15名

料 金 1,000円

読み手 岡安圭子

場 所 森岡書店 銀座店 東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階 

要予約 okayasukeiko@gmail.comまでお名前と人数、ご連絡先をお送りください。

展覧会 U’U’ ceramic jewelry and objects 小駒 眞弓

2015 6/16(火)〜 6/21(日)at 森岡書店銀座店 営業時間13:00〜20:00 

“手の中から生まれる結晶”

陶磁器はその組成において

鉱物や宝石ととても近いもの

膨大な時を重ねて形成されていく鉱物たちのような

小さなものが整然とつながっていく構築感

時間や意識が凝縮され

結晶化していくイメージ

手の中から生み出される唯一無二の結晶たち

初個展でもある今回は私が陶磁器という素材を選び、そしてジュエリーを作っていく上で大切なきっかけになった宮沢賢治の「虹の絵具皿(十力の金剛石)」の物語と共に、ジュエリーのほかタイルによる平面作品を展示致します。

以上

【後記】

数年ぶりに森岡書店さんで朗読会をさせて頂きました。森岡書店銀座店では第一回目の朗読会だそうで、それもまた嬉しい、誇らしいことでした。

茅場町でも朗読会のときは隅の方で小さくなっていた森岡さんが、この日もやはり隅で小さく体を丸めていて、変わらないなぁと思いました。小駒さんも(そして旦那様の飛松さんも)なぜだか昔からよく知っている人のような気がしていて、目を閉じて聞いてくださっている姿にほっと落ち着きました。大事な友人も忙しい中を来てくれて(いきたかったなぁ、と言ってくれた友人も)、そういうあったかい人たちに見守られて、ただただ幸せだと思いました。森岡さんの言葉をきっかけに朗読を始めて8年、もうあっという間でしたが、その8年の間に私はこんなに大切な人たちと出会えたのでした。それが形となってみえた朗読会でした。

朗読後のトークショーでは、小駒さんがこの『十力の金剛石』を読んで鉱物に魅せられたお話、旅に出ると川のそばで必ず小石を積んでくるお話など、作家さんがその作家の道を歩むきっかけになったことなどをお話してくださいました。それらを聞きながら、宮沢賢治ってやっぱりすごいな、小駒さんという人を時間を超えて見つけ出して、彼女の前に石を置いていったのだなと思いました。この森岡書店のあったビルのあたりにも足を運んでいたというお話も出てきて、いろんな偶然にみんな驚いていました。

物語の鍵となる「さるとりいばら」が王子たちを不思議な場所へ連れて行ったように、この夜、宮沢賢治が仕掛けたさるとりいばらによって皆が連れていかれたのは、みんなの森岡書店なのでした。

飛松陶器さんのHP「すべてはUUの展示で明らかになる?」


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